- トップページ
- メッセージ
地方の抱える課題
日本の人口は 2012年にピークアウトし、今後ますます人口減少が顕著になっていくでしょう。人口減少・少子高齢化は地域の活力をスパイラル的に奪い、すでに地方都市ではその影響が顕著に現れています。再度、適度な活性化を目指すためにはそれぞれの街の規模にあった再開発が必要です。大都市圏ではすでにデベロッパーが新たな都市づくりを行っていますが、地方都市ではプレーヤー、資金力不在の現状があります。
それらを解決し身の丈に合った、美しくて助け合いの心に満ちたまちづくりを成し遂げた地方都市づくりが求められています。
我々建設業は、地域の産業グループとして企画提案力を磨き、まちづくりを担う「新たな建設業」を目指していかなければなりません。
代表理事
安成 信次
株式会社 安成工務店
建設業は、土木、建築、橋梁、電気、設備など幅広い専門業態を持っており、すそ野の広い就業人口を持っています。
いずれも災害時対応や公共インフラのメンテンナンスなどにおいて無くてはならない業種でもあり、地方都市においては地域経済を支える基幹業種でもあります。
ここでは主に「建築」の分野を担う建設業が、受注業態を脱して、企画提案型の建設業へ構造転換する事で、従来にない体質を持った新たな建設業へ進化し、PPPやPFIはもとより、まちづくりを含めた地方創生を担う気概を持つ事を目的としたいと思います。それが建設業の健全な成長に繋がると確信しています。そのために学びあう仲間が集う研究会を立ち上げることとしました。
建設業の誇りを
取り戻すために
これまでの経緯
受注業態から創注業態へ、
建設業の業態転換を図る。
多くの建設業が昭和40年代の高度成長の時代から建設投資額84兆円でピークを迎えた平成4年にかけて成長し、その後は公共投資の減少に伴い成長を鈍化させてきました。また、公共以外にも活路を民間投資に向けた企業も多く、特徴ある建設業も多く生まれてきました。しかし総じてその業態は「受注業態」といえるのではないでしょうか?
安成工務店では、昭和58年当時から民間投資に焦点を当て、受注業態から脱し、企画・開発・設計・施工を一貫した業態とする「創注型建設業」へと業態転換を図ってきました。現在では185名の社員の内22%が設計部署に所属し、約110億円の売り上げの内、95%が自社設計案件となりました。これらのことから、従来の受注業態の建設業とは技術やマーケティングに対する考え方がまったく違う、進化した「建設業」の姿を確信することが出来たと考えています。
設計力を磨き、
企画提案力をつける。
安成工務店が目指したものはデザインビルドであり、設計・建設が一体となったアーキテクト・コンストラクターとも呼ぶべき業態であると言えます。
安成工務店の場合は社内に設計部隊を置き設計力を磨くことに注力してきましたが、社内に設計部を持たずとも社外の設計事務所と連携し協同する方法もあると思っています。必要な事はプロジェクトに関して企画の段階から参画し企画・設計力でプロジェクトを建設業が先導することがポイントだと考えます。
つまり一般の建設業は発注者に対し見積参加要請をし、価格比較で選択してもらうわけですが、それに対して「企画提案型建設業」は、企画提案をし、設計施工で受注をするというわけです。
受注業態からの業態転換。最初の一歩は土地を見つけ、その有効活用策を提案することから始めたらどうでしょうか?
ここで問題になるのは、最適な有効活用策がなかなか見つからないという問題だと思います。当研究会では事務局が最適なリーシングをお手伝いすることとしています。出店業者が決まれば土地活用は大きく進展するわけです。これらの土地活用を続けながら、次は営業スタイルの転換を行うべきです。これまでの「見積もりをさせてください。」から「提案させてください。」へと営業スタイルを大きく変えるわけです。先行して提案を進めながら、企画提案受注を重ねて行くことが大切です。3年も経過すれば社内で業態転換の姿を確信することできるはずです。
更に、これから公共工事も従来の指名競争入札や公募形式から、求める公共施設の最適解の企画提案を求める、PPP・PFIが増えることになります。これは背景に行政側に技術人材不足や資金調達の問題もありますが、何よりも民間の力を活用して最適活用策を追求するという側面があります。今後10年間で10兆円の予算が投入されるという発表もあるため、地方建設業にとってはとても大きな挑戦課題と言えます。
そして、我々は企画力、資金調達力、実績を積み重ねながら、まちづくりを目指さなくてはなりません。地方都市の経済を支える業態の中で、直接的にまちづくりに参画できる業態を持っているのは建設業にほかなりません。